オールドモントローズ ピュアモルト 8年 80年代流通

750ml 43% ウイスキー特級
評価:★★★★★☆☆☆☆☆(5/10)

香り:かなり独特な香りたち。出涸らしの様な紅茶香、バニラアイス、柿、巨峰ジュース、マホガニー材。
味:なめらかな口当たり。紅茶葉そのものを噛んだニュアンス、ミルクチョコレート、苺キャンディ、干し柿、和がらしのスパイシー。
余韻:タンニンを伴う紅茶感とスパイシー。
コメント:非常に独特の香味ながら蒸溜所が思い浮かばないモルト。

大好物の謎モルト、今回はオールドモントローズ・ピュアモルト8年です。

非常に情報が少ないブランドですが、現在はキャンベル・マイヤー社系列の傘下となっている様です。
それ以前は1973年に創業したドイツ系イギリス人による小規模な家族経営の会社のブランドだった模様、所有蒸溜所は無く、関連企業の情報も皆無なのでこの線ではこれ以上探れ無さそうです。

ではモントローズという名はというとスコットランドのアンガスにある町の名前で、近隣ではグレネスク蒸溜所が1985年まで蒸留をしていました。
グレネスクは少し特殊な来歴を持つ蒸溜所で、1939年から1964年の間はグレーン蒸溜所として稼働していました。
この時期の名前がモントローズ蒸溜所、オールドモントローズとも何らかの関係があるのかもしれません。

ここからは香味で詰めていきたいと思いますが…なんとも独特です。
香りは紅茶系を中心に甘いフルーツ感や木の香りがありますが、いずれも少し浮いた様な分離感というか、ネガティブでない意味で香料っぽいと感じます。
味もやはりそれに近い傾向で、フレーバーを後から追加した様なニュアンスを感じ、また各要素もあまりウイスキーに感じたことの無いものです。
↑同12年も全く同じ特徴を持つ。

ん~、樽が特殊なのでしょうか?
例えばドイツ系の会社なのでイエーガーマイスター樽熟成とか…は、流石に時代を先取りし過ぎかなぁ?
グレネスクは基本的にあまり強い特徴が無く、含まれているかどうかを探る段階まで辿り着けませんでした。

なんともスッキリしないところですが、謎ウイスキー好きにとってはこの感覚がクセになるのです!
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ホワイトヘザー デラックス 70年代流通

75cl 43% ウイスキー特級
評価:★★★★★★☆☆☆☆(6/10)

香り:甘く柔らかい香り立ち。厚みがあり角が取れた麦芽香、完熟リンゴ、赤ワインに火を通した香り、カラメルソース、奥にしっとりとしたピート。
味:粘性のある口当たり。ゆっくりと立ち上がる甘いモルティ、リンゴの蜜、干し柿、キャラメル、徐々にほろ苦さを伴う土感。
余韻:火を通したリンゴのフルーティ、強くはないが蓄積する土っぽいピート。
コメント:しっとり甘くピートもジワジワと、オールドブレンデッドらしいオールドブレンデッド。

今はなき名酒であるホワイトヘザー、今回は70年代流通品です。

キーモルトはアベラワー、ボトル形状も共通しています。
↑角瓶時代のアベラワー。

今回のラベルでは前期と後期でキャップ形状に違いがあり、今回のコルクキャップが前期、メタルスクリューキャップが後期となります。
蒸留時期を逆算すると1973年のアベラワー蒸溜所の蒸留器増設以前の原酒がほとんど、もしくは全てと考えられます。

香味は甘く柔らかい入り口から厚みのある麦のニュアンス、熟したリンゴやカラメルソースの様な甘さ、中盤からはじわじわとピートも主張してきます。
なんともお手本の様なオールドブレンデッドで、個人的なストライクゾーンにぴったりと入ってきます。

コルクキャップなので個体差は大きいと思いますが、この個体はその要素は無視できる範囲内でした。

このボトルの年代以降さまざまな熟成年数を展開したホワイトヘザーですが、その基準点となる味と感じた一杯でした。

サントリー 膳 2000年代流通

640ml 40%
評価:★★★★☆☆☆☆☆☆(4/10)

香り:軽くややツンとした香り立ち。麦茶、甘いアルコール香、ほのかにバニラ、和紙。
味:軽くやや角のある口当たり。食パンの白い部分、リンゴジュース、上白糖、ほのかにミント。
余韻:軽く砂糖の甘味、アルコール感。
コメント:ストレートでは相当にライトボディ、加水でよく伸びる。

今回はサントリーが1998年から2010年まで販売していた膳です。

詳細な仕様や年代の見極めは何故かニコニコ大百科がめちゃくちゃ詳しいのでここでは割愛、大まかに「連続式蒸留器の使用」「竹炭濾過」「一部に杉樽熟成原酒を使用」「100%モルト」といった特徴があります。

発売年や仕様、値段から考えるとニッカのモルトクラブの対抗馬として登場したとも考えられそうです。
↑1995年にオールモルトの姉妹品として発売されたモルトクラブ、その名の通りこちらもモルト100%。

香味は非常にドライなタイプ、口当たりがライトでサラッとバニラ系の樽香、モルトウイスキーとしては異例と言えるほど余韻の切れ上がりも良いです。
加水の伸びはさすがサントリー、角が取れて柔らかい甘さが前に出ます。
和食によく合うウイスキーというサントリーからのアナウンスの通り、単独で飲むものではなく食事と合わせて水割りやハイボールでなどで飲むウイスキーです。

サントリーの一つの完成点とも言える膳、設計思想がよく見えたウイスキーでした。
[タグ] 2000年代

ボウモア サーフ 2000年代前半〜半ば流通

1000ml 40%
評価:★★★★★★☆☆☆☆(6/10)

香り:フルーティな香り立ち。パイナップル、缶詰のマンゴー、焦げた木材、しっとりとしたピート、潮風。
味:ややオイリーな口当たり。パイナップル、焼きリンゴ、重さのあるピート、焦げた魚の皮、徐々にやや荒いスパイス感とわずかなフローラル。
余韻:焦げ感、海のニュアンスを伴うピート。
コメント:ギリギリパフュームながらポジティブな面が光るボウモア。

今回はボウモアの中でも主に免税店向けとして販売されていたサーフのオールドボトルです。

流通年代は2000年代前半~中頃、表ラベルにカモメが描かれたボトルとしては最後期のものです。
カモメラベルといえばパフューム香、サーフはノンエイジなので比較的安全に見えますが、この個体はどうでしょうか…?

香味はしっかりとボウモアらしいフルーティを感じる内容です。
やや重めに感じるピートの奥からはわずかにパフュームのパの字くらいが見え隠れしますが、全体的にはなかなか完成度の高いボウモアです。

構成は10年程のバーボン樽原酒を軸にトップドレッシング的にパフューム時代の長熟を使用しているというところでしょうか。
そうなるとボウモアの当たり年と言われている1993年前後の原酒がメインとなるので豊富なフルーツ感も納得、ロットごとの個体差はあるでしょうが、いわゆる「前田のボウモア」に近いスペックとも言えそうです。
↑こちらは90年代流通品、パフュームが好きな方はこちらがオススメ。

やや恐る恐るなテイスティングでしたが、キラリと光るものを見つけられた一杯でした。

グレンデル 1953 20年

750ml 43%
評価:★★★★★★☆☆☆☆(6/10)

香り:甘く湿度を感じる香り立ち。角の取れた麦芽香、やや香料的なオレンジ、シナモン、ラベンダー、湿った土。
味:粘性とスパイス感のある口当たり。旨味を伴うモルティ、熟した蜜柑、クローブ、ややケミカル感を伴うオイリー、徐々に支配的になる鹸化したニュアンス。
余韻:柔らかく染み込む麦芽、やや強めのパフューム。
コメント:非常に上質だが好みが分かれるウイスキー。

今回は珍しいウイスキー、グレンデルです。

グレンデルとはイギリス文学において最も古い時代に成立した叙事詩「ベオウルフ」に登場する巨人の名…とはいえ、日本においてはドラクエでもFFでもそんなに強くない微妙な立ち位置のモンスターという印象が強いでしょうか。

製造元はラレー社、この会社は当時ダグラスレイン社の関連企業で、そこから分社したハンターレイン社が現在でもグレンデルのブランド権を持っているようです。

1953年蒸留で20年熟成というかなり惹かれるスペックを持っておりますが、単一年ながらモルトという表記は見当たらず、ブレンデッドの可能性も…飲んで確かめたいと思います。

香味は複雑でケミカル寄り、ベースには柔らかく旨味を含んだ麦芽系のニュアンスがしっかりとありますが、口当たりには少し鋭角的な部分も感じます。
そこにやや香料的なフルーティやスパイス感、そして奥からはパフュームも出てきます。
海系のニュアンスはほぼ感じず、スペイサイド含むハイランドモルトとローランドモルト、それとグレーンが1:1:1くらいという印象です。

クセは強めですが、それらに耐性がある方はもう1・2段階くらい評価が上がりそうな質の良いウイスキーでもあり、飲んだ事がある方の感想が聞きたくなる一杯でした。

プロフィール

s.tayama

Author:s.tayama
ウイスキーのオールドボトルを中心とした研究・情報ブログです。

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