トーモア 10年 70年代流通

750ml 43% イタリアンタックスツースター
評価:★★★★★★★☆☆☆(7/10)

香り:しっとりとした厚みのある香り立ち。湿度を伴う甘い麦芽香、煮たリンゴ、ミルクキャラメル、甘酒っぽさ、やや杏仁、ほのかに稲藁。
味:トロリと甘い口当たり。オールブランクッキー、カステラ、熟れたマスカット、焼きリンゴ、中盤からややビター、徐々に舌の奥に溜まるスモーキー。
余韻:白米の様なやわらかい甘さ、ほのかなビター、しっとりとスモーキー。
コメント:しっとり柔らかく、かつ特有の甘さを持つモルト。

スペイサイド地区の比較的新しい蒸溜所であるトーモアのオールドボトルです。

傘下にロングジョン社を持っていたシェンレー社によって建設され1961年に蒸留開始、1972年には蒸留器を4→8基へ増やし増産、1975年にウィットブレッド社、1989年にアライド社と親会社が変遷していき、2005年に現在の親会社であるペルノリカール傘下となりました。
現在はキーモルトとしてロングジョン・バランタインなどに使用されています。

スタンダード品のボトルの見た目の変化も大きく、古いものからざっくりと、
・グリーントールボトル(今回のボトル)
・クリアトールボトル+赤玉に年数
・六角形の豪華なボトル
・クリアトールボトル+水彩画ラベル
・青ラベル
・ダンピーボトル(現行)
となっています。

今回のグリーントールボトルは70年代流通、原酒はトーモア蒸溜所最初期のものが使用されています。

香味は湿度や粘性を感じる入り口から、柔らかく厚みのある麦のニュアンス、そして白米や甘酒を思わせる甘さへと繋がっていきます。
華やかさがある内容ではありませんが、しみじみうまいなぁと思う構成で、この方向性は個人的な好みの一つです。

ブレンドにおいては縁の下の力持ちタイプ、ブラックボトルなどのブランドを傘下に収め、アメリカンのみならずスコッチへも拡大傾向にあったシェンレー社の狙いが見えて来る内容でもありました。

親会社の変遷によるものかトーモアは時代ごとの変化が比較的大きく、複数年代の飲み比べも楽しい蒸溜所です。
見かけた際は是非、親会社や同年代のブレンデッドを思い浮かべながら飲んでみてください。
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オールドラリティ 80年代前半〜半ば流通

750ml 43% ウイスキー特級
評価:★★★★★★☆☆☆☆(6/10)

香り:甘くスモーキーな香り立ち。焼き立てのクッキー、オレンジ果汁、キャラメルポップコーン、ねっとりとした印象のスモーキー、奥にほのかな塩気。
味:まろやかかつ骨格のしっかりとした口当たり。焼き立てのパン、オレンジピール、カラメルソース、舌に絡みつく様なピートのニュアンス、ほのかにクリームチーズ感。
余韻:ビターでスモーキー、軽く酸を伴う。
コメント:DCL上位ブランドらしい、熟成感と厚みのあるブレンデッド。

前回に引き続きバロックレイド社のボトル、オールドラリティです。

バロックレイド・ゴールドラベルの上位にあたるブランドですが、日本国内においてはこちらの方が多く流通していた様で、現存する本数もオールドラリティの方が多いと思われます。

ラベルの変更が比較的多く、70年代初頭まではコルクキャップを使用した全く別のデザインでした。
70年代前半からは今回のボトルと同系統のデザインへ変更されますが、初期のものはde luxe表記無し、1980年前後のものはde luxe表記あり(この頃はキャップ裏に金属シール)、さらに80年代後半には12年表記が追加されます。

コルクキャップの使用の有無やデラックス・12年といった表記の変遷は比較的多くのブレンデッドスコッチのブランドに当てはまるため、例外もあるもののオールドボトルの年代測定において大まかな指針になるところです。
↑左は1970年頃流通の旧デザイン。

香味はカラメルソースの様な甘さや熟成感を伴う厚み、しっとりとしたピートのニュアンスなどが主となる構成です。
この辺りはジョニ黒やプレジデントといったDCLの上位ブランドに比較的多く共通して見られる要素です。
単純にDCLとしての方向性と整理することもできますが、カリラ蒸溜所は70年代前半に改修工事をしており、原酒の年代がここにかかってきそうな今回のボトルにおいては他のDCL系蒸溜所から供給されるモルトの割合が増えていた可能性があり、これに由来する香味とも考えられます。

オールドラリティはその後1990年頃に終売、現在では比較的高値で取引されており、またキャップの状態に難があるボトルも多く、購入するには少し手が出しづらいところが難点です。

バロックレイド ゴールドラベル 80年代流通

750ml 40% イタリアンタックス2スター
評価:★★★★★★☆☆☆☆(6/10)

香り:甘く柔らかい香り立ち。焼き立てのパン、リンゴジャム、メープルシロップ、やや塩素感、奥に存在感のあるスモーキー。
味:やや軽めの口当たり。しっとりとしたモルティ、リンゴ果汁、ザクロ、蜂蜜、やや海水感、中盤からややピーティ。
余韻:甘いリンゴ感、口の中を漂う軽やかなスモーキー。
コメント:バランス型の構成ながらキーモルトの要素も見えて来るブレンデッド。

カリラをキーモルトとするDCL系ブレンデッド、バロックレイドのオールドボトルです。

バロックレイド社の創設は1830年、DCL社と競い合う程の規模でしたが、20世紀に入ると業界全体の低迷により勢いを失い1920年代にDCL傘下へ、その後はイタリアを中心に90年代まで流通していました。

今回のボトルは80年代のイタリア流通品、キーモルトとなるカリラ蒸溜所は70年代前半に大規模な改修・増産工事を行っていますが、それ以降の原酒がメインにブレンドされているものと思われます。

香味はややライトな入り口、柔らかい麦感とリンゴ系のフルーティを中心としたバランス型の構成です。
その中にクリアな塩気や酸味などのカリラを思わせる要素もちらほら、思いっきりアイラという訳ではないものの、しっかりとしたスタイルを持ったウイスキーです。
↑同時期に流通したバロックレイド表記のカリラ、こちらもクリアな酒質。

この飲み飽きない味わいは料理との相性も良さそうで、国内流通量は少ないものの自宅にも一本欲しいと思わせる一杯でした。

リンクウッド 1939-1987 48年 セスタンテ

750ml 40% イタリアンタックス2スター
評価:★★★★★★★☆☆☆(7/10)

香り:柔らかく複雑な香り立ち。濃く出した芳醇な紅茶、プルーン、カシス、カラメルソース、やや粘土感。
味:スムースである程度の厚みもある口当たり。濃縮した紅茶、煮たリンゴ、ミルクチョコレート、抹茶、湿度を伴う一体感のあるピート。
余韻:しっとりとした土感のあるピート、煮詰めた複合的なフルーティ、ジワリとビターなウッディネス、やや短い。
コメント:熟成感とオールドピートが楽しいモルト。

今回はかなり蒸留時期の古いこのボトル、リンクウッド1939-1987、詰め元は今は無きイタリアのボトラーであるセスタンテです。

1939年といえばポーランドへ侵攻したドイツに対してイギリスが宣戦布告し第二次世界大戦が始まった年、他の蒸溜所と同じくリンクウッド蒸溜所も大戦中に一時閉鎖(1945年蒸留再開)されておりますが、今回のボトルはそれ以前の原酒となります。

熟成期間は48年とかなりの長熟、セスタンテは40%加水版とカスクストレングス版の2つを同時にリリースする事が多いボトラーですが、今回のリンクウッド1939においては長熟による度数低下のためか高度数のボトルは流通しなかったようです。
↑熟成により度数40%を下回ると「Scotch whisky」としては出荷できなくなる、写真にある49年熟成で37%のトミントールは「Malted Spirit Drink」。

長熟により度数落ちしたウイスキーは樽感が強すぎたりボディが軽くなってしまっていたり、いわゆる「過熟」になってしまう原酒も多いのですが、そこは流石セスタンテでした。

香味共に芳醇な紅茶の様なニュアンスがトップに、その奥にはとろりとしたフルーティに加えて一体感抜群のピートがかなりしっかりと感じられます。
ピートのニュアンスは熟成中に徐々に失われ、50年近い長熟となるとかなり奥に引っ込んでしまうものが多いのですが、今回のボトルは恐らくニューポットの段階ではかなり強くピーティだったのだと思います。
ほぼノンピートの今のリンクウッドと比べると面白いところです。

ボディはミドルボディといったところ、余韻は少し儚さがあるものの、過熟感はあまり感じません。
一方加水は骨格が崩れる印象があり、最後の飲み頃をしっかりと捉えたボトリングと言えそうです。

グレンマレイ 12年 80年代後半流通

750ml 43%
評価:★★★★★★☆☆☆☆(6/10)

香り:甘く香ばしい香り立ち。煎った麦、焼いたリンゴ、ドライアプリコット、稲藁、ほのかに焙煎したコーヒー豆。
味:柔らかい口当たり。トースト、洋梨、熟れたリンゴ、蜂蜜、後半に抹茶のビター。
余韻:軽やかなリンゴのフルーティ、ほのかに植物感を伴うビター。
コメント:素朴で質実な麦感の中にほのかな植物感が良いアクセントとなっているモルト。

現在はフランス企業の傘下となっているグレンマレイのオールドボトルです。

元々は1828年にビール醸造所として創業、1897年にウイスキー蒸溜所へ改装されるものの、パティソン事件からのウイスキー不況で1910年に閉鎖、グレンモーレンジ蒸溜所を所有していたマクドナルド&ミュアー社の元で1923年に蒸留再開、1958年~1978年にはサラディンボックスによる精麦も行います。
2004年には親会社と共にLVMH傘下へ入りますが、2008年にはフランスのラ・マルティニケーズ社へと売却され現在に至ります。

今回のボトルはラベル背景に'93と書かれており、1993年蒸留もしくは瓶詰めかと思いきや、書籍などの情報から80年代後半頃の流通と思われ、蒸留時期はサラディンボックス時代と推測できます。
では'93とは何かというと、恐らく当時の親会社であるマクドナルド&ミュアー社が創業した1893年の事かと考えています。

オールドモルトの中では流通量が多く値段もお手頃ではありますが、大きな問題点を抱えているボトルでもあります。
↑キャップ裏の金属シール。

前回のサンディマックでもありましたが、同じマクドナルド&ミュアー社のジェームズマーティン12年などと同形状のこのボトルはキャップ裏に金属が使用されており、金属系のオフフレーバーの可能性があります。
付属の箱も横置きにしてくれと言わんばかりの構造で、むしろ箱なしの方が状態が良いものが多い印象です。

また、今回のボトルはマレーシア廻りです。
気温の高い地方で流通したボトルはオフフレーバー発生の可能性が通常より高く、恐る恐る口開け最初の一杯を頂いきましたが…状態の良さに驚きました。(テイスティングノート及び写真は2回目訪問時のものです)

香味は香ばしく素朴、麦の厚みと旨味を中心とした内容です。
華やかさやピートなどの目立った要素はあまりありませんが、ほんのりと感じる植物感が良いアクセントとなっています。
分厚いというほどではありませんが、兄弟銘柄とも言えるグレンターナー12年よりはどっしりとした構成で、なかなか飲み応えがあります。

現在はワイン樽フィニッシュ系のリリースが多いグレンマレイ、対照的に今回のボトルは「すっぴん感」が楽しい一杯でした。

プロフィール

s.tayama

Author:s.tayama
ウイスキーのオールドボトルを中心とした研究・情報ブログです。

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